中国で「７禁話運動」で思想統制強化


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中国で７禁運動－思想統制強化
(2013年05月18日)

中国では最近、当局による思想統制強化の動きが目立っている。

中国で「７不講運動」で思想統制強化

中国共産党中央は今月初め、国内各大学の党組織を通じて「司法の独立」や「共産党の歴史上の誤り」など一党独裁の堅持に関わる７つのキーワードを授業で使わない“禁句”とするよう通達。大きな話題を呼んでいる。昨年秋まで続いた胡錦濤（こきんとう）政権による言論の締め付けは報道分野が中心だったが、習近平（しゅうきんぺい）指導部は前任者よりも言論、思想面での統制を一層強化し、大学教育の現場も重点対象となったことがうかがえる。胡派との党内主導権争いが背景にあると指摘する声もある。

香港各紙と複数の大学教授によれば、共産党中央が各大学の共産党委員会の担当者を通じて口頭で出した禁句は以下のようになっている。
「普遍的価値（自由・民主化、人権の尊重など）」
「報道の自由」
「公民社会（市民社会）」
「公民の権利」
「党の歴史上の誤り」
「権貴資産階級（権力者と資本家が癒着したことによって生まれた社会階級）」
「司法の独立」
の計７つ。
これをまとめて中国語で「７不講」（７つの教えてはいけないこと）と呼ばれている。

この７つのテーマはいずれも中国の憲法に違反するものではなく、むしろ守られている権利と価値観であろう。
この通達を受けて多くの改革派学者は中国版ツイッター、微博（ウェイボー）などで「学問の自由への侵害だ」と反発している。

共産党筋によれば、今回の通達を主導したのは、習近平国家主席（５９）に近いとされる劉雲山（りゅううんざん）・政治局常務委員（６５）。
「７不講運動」が国際社会で注目され、このことが国内で知れて政権のイメージが低下するのを避けるため、国内インターネットで検索不能なキーワードとしたのも、劉氏のいつものやり方。「陰湿な手口」（清華大学の学生）と大学生らに批判されている。

劉氏は言論統制を担当する党中央宣伝部長を長年務め、代表的な保守派として知られており、「中国国内で現在、思想が混乱している諸悪の根源は大学教育」というのが劉氏の持論で、今回の「７不講運動」と合わせて、「反党・反社会主義」の思想傾向がある大学教師を教育現場から駆除する「キャンパス浄化運動」も近いうちに開始されるとの情報もある。

習近平指導部が大学への締め付けを強化する背景には、胡錦濤前国家主席（７０）が率いる共産主義青年団出身者（共青団派）の大学への影響力を減らしたい思惑があるという。
習主席は最近、民族主義を煽（あお）るスローガン「中華民族の偉大なる復興」などを全面的に打ち出し、対外強硬姿勢を示すなど保守的スタンスを明確にしている。
これに対し胡錦濤派は「時代錯誤だ。中国の孤立をもたらす」と批判的な立場を取っており、現在２つの政策方針が党中央で激しくぶつかっている。
これに対し、民間では多くの改革派学者が胡派を応援し、習氏の保守路線は大きな批判を買っていると言える。

中国で「７不講運動」で思想統制強化